受講生の声 岡田恵理様

ロシア語講座、受講生インタビュー

今回は実践通訳講座 受講生の岡田恵理さんにお話を伺いました。聞き手はアイケーブリッジ外語学院、学院長の幡野です。通訳訓練をするまでのロシア語力を身に着けた岡田さんが、どんなふうにロシア語人生を歩んできたのか興味津々です!

(岡田恵理様 43歳 フリーランス通訳者)

ロシア語の学習を始めたきっかけを教えてください。
高校生のときに進路を考えるにあたり、なんとなく国際的な仕事がしたいと思っていました。三姉妹の長女だったこともあり国公立大学を目指し、そして国際関係学部があるところを探して、静岡県立大学に入学しました。生まれ育ちは鳥取県です。

第二外国語を選ぶ際、いろんな言語がありましたが、私はあまのじゃくなので、あまり人がやらないもの、そして後で勉強したいと思ったときに独学だと難しいのではと感じたロシア語を選びました。

在学中に、大学がモスクワ国際関係大学(通称 MGIMO(ムギモ))と交換留学制度を設けたんです。先生に勧められたこともあり、チャレンジすることになりました。私が一期生です。

90年第後半の半年間、寄宿舎生活をしながら準備学部でいろんな国の学生たちとロシア語を学びました。準備学部というのは、本科に入る人のための学部です。住まいは大学の寄宿舎といえども、いろんな人が住んでいるんですよね。ルームメイトはロシア人でした。大学の第二外国語でロシア語に触れていた程度の私はルームメイトと会話するのも一苦労でした。初日の授業の前日、事務室で、授業が始まる時間が9時なのか、10時なのか、それを正確に聞き取るのも困難だったんです。9時に行き、合っていたので良かったです(笑)。

共同の台所もありましたが、部屋でコンロを使って自炊をしたりしました。買い物は大変でしたね。ソビエト時代の買い物の仕方の名残があって、カウンターの向こう側に商品が並んでいる、カウンターに立つお店の人に欲しい物を伝えて、分量を伝えて……かなりロシア語の訓練になりました。あとは青空市場で野菜や果物を買ったり。すべてにおいて日本の生活の常識が通じないので、大変でした。

でも、たまにロシア人や他国の友達と夜の街に繰り出して、踊りに行ったりもしましたよ。寄宿舎の誰かの部屋でみんなで映画を見て、ロシア人が解説してくれて。当時は遊びながら、音を真似するような感じでロシア語を話していました。片言のヘンテコなロシア語だったと思います。

帰国後は?
日本の県立大を卒業したときにロシア語が身についていないと思い、もう少しきちんと勉強したくて、ムギモの修士課程に入学しました。手続きは自分で行いましたが、学費は両親に援助してもらいました。2年間の修士課程です。大学院ではロシア人が諸外国語を学ぶ時間に、私たち留学生がロシア語を学ぶ、という方式でロシア語を勉強しました。

進級試験や卒業試験はインタビュー形式の口頭試験が主です。国際的なイシューなど、100くらいの質問が事前に提示されます。試験ではその中から1つか2つのことについて、クジのように紙を引いて、書かれたイシューについて論じます。100ものイシューについてロシア語で準備するのはものすごく大変で、ロシア人に手伝ってもらいました。もう少し高いロシア語能力と知識があれば、大学院での学問がもっと充実したものになったのではと後悔する部分も多々あります。

週末はロシア人の友人の実家やダーチャ(郊外の別荘)に遊びに行ったりしました。観光もたくさんしましたよ。特に印象的なのは、学部時代の半年の留学の時にマグニトゴルスクというウラル山脈の街に行ったことです。ルームメイトの実家があるところで、鉄道で丸二日かかりました。長距離列車は4人部屋でベッドがあります。一人はおじいさん、一人はおばさん、そして私、という3人でした。夜に寝るとき以外は下のベッドを椅子にして3人で座って、食べ物をもらったり、話したりしながら移動しました。

マグニトゴルスクはコンビナートを中心としてできたソビエト時代からの街なんですが、街に終わりがあるんですよ。ここまで市街地、ここからは荒野って(笑)。ソビエトっぽい街ってこういう感じなんだ、とモスクワとはまったく違う雰囲気に驚きました。そう、このとき日本人が初めて街に来たと話題になったそうです。

就職はどうされましたか?
大学院を修了して就職し、報道関係の仕事に12年間携わりました。その間、ロシアに駐在したこともありました。ロシア人にインタビューするときは、現地スタッフが通訳のために来ることがあります。自分で話しながらインタビューをするときと、現地スタッフにコミュニケーションを手伝ってもらうときの、相手の心の開き方が違うんですよ。自分のことばで充分コミュニケーションを取りたいのに、まだまだロシア語の力が足りないと痛感しました。でも、業務に手一杯で語学力を磨くための時間はありませんでした。こんなんでいいのだろうかという、複雑でもどかしい気持ちが募っていきました。私は大学院を出たのに、まだ中途半端だという気持ちがありました。ロシアに駐在していたときにその気持ちが高まって、仕事への達成感もある程度得られたので、ここでひとまずピリオドを打って、ロシア語のブラッシュアップに専念しようと決心しました。
どうやってブラッシュアップしたのですか?
退職し、ロシア語検定試験の1級と通訳案内士の資格を取ろうという目標を立てました。1年間は自由の身になって、勉強に専念しようと。これまで耳で覚えた表現ばかり使っていたので応用がきかないことがわかり、文法をしっかり勉強したくて専門学校に通いました。通訳ガイドを養成する上級クラスに所属し、構文をどう読むかなど、文法をようやくしっかり学ぶことができました。このとき、難しい構文への苦手意識がなくなりました。それまでずっと仕事をしてきたので、勉強に集中できる日々は本当に楽しかったです。無事ロシア語検定1級に合格、通訳案内士の資格も取って、フリーランスの通訳者として少しずつ活動を開始しました。
どうやって、そして、どんなお仕事を始めましたか?
通訳業を斡旋してくれるエージェントに登録しました。現在、5,6社に登録しています。もちろんトライアルテストがありますが、書類審査のみのところもありました。仕事内容は、テレビ局で記者会見やインタビューなどに字幕を付けるための映像翻訳の仕事が多いです。日露間で政治的な動きなどが活発になると、業務量や頻度が増えたり、突然、依頼が来ることもあります。映像翻訳以外は、スポーツの大会に同行したり、テレビ局のロケに着いて行き、通訳することもあります。通訳業務は国内がメインです。ロシアにもたまに行きます。
フリーランスになって心がけていること、気を付けていることはありますか?
そうですね……。当たり前ですけれど、任された仕事に全力で責任をもって取り組んでいます。クライアントが望んでいるかな、ということを先回りして考え、行動するようにしつつも、通訳者は裏方に徹しないといけないので、でしゃばりすぎないようにと心がけています。一度の仕事が次の仕事に繋がるので、次またお願いします、と言ってもらえるようにしないといけません。生活やキャリアがかかっていますから。何ごとも自分次第なのでやりがいを感じます。
アイケーブリッジを知ったきっかけは?
徳永晴美先生の講座です。徳永先生のお名前は昔から存じ上げていて、ご著書で勉強もしていたし、どんな方なのか直接お目にかかって話を聞いてみたいと、参加しました。そのときの講座はとても刺激的でした。満足して、帰ろうと思ったところ、通訳講座が開講するとご案内があったので興味を持ちました。

フリーランスとしてなんとか独り立ちできた頃でしたが、それと同時に、いきづまりも感じていました。映像翻訳の仕事はやりがいもあり、いろんなことを知ることができて面白みももちろんありましたが、聞いて、翻訳を付ける、という作業が主なので、話す機会があまりなかったんです。これではロシア語の実力がさらに伸びることはないのではと焦っていました。業界や仕事の幅を広げたいと思っていたちょうどその時期だったんです。

通訳講座の先生方からどんなことを学んでいますか?
ロシア語ネイティブの先生、日本語ネイティブの先生、両方の先生の授業を受けることができますが、ロシア語ネイティブの先生からは辞書を引いても出てこない、通訳の現場でよく出てくるような旬の表現や、今はこれで通じるよ、というような略語をたくさん教えて頂いています。

日本語ネイティブの先生からは、先生が実際に、いまでも通訳技術の向上のために実践されているトレーニング方法を伝授して頂いています。ご自身の経験から出てくるアドバイスなので、説得力があり、信頼が持てます。通訳訓練にはこんなにいろいろな方法があるんだ、と驚きました。

先生方の通訳現場でのいろんなお話がありがたいです。私たちフリーランスは個人業なので、情報も意外と入ってこないし、どうしても自己流になりがちですが、先生方の失敗談や大切にしていることなど、興味深い話をたくさん聞くことができます。

先生方は私たちの良いところを見つけて褒めてくれるので、期待してくれているから頑張ろう、熱意に応えようと思えます。それと同時に、一人一人をシビアな目で冷静に見ていることも分かります。だから、さりげなく指摘されることを厳重注意だと思って肝に銘じるよう、注意されたことは心にとめ、メモにとって思い出すようにしています。でも、「このまえ注意された発音をまた繰り返しちゃった!」なんて、反省することもしょっちゅうです。何度も指摘してくれるわけではないので、忘れないようにしないといけませんよね。

これまでロシア語の通訳学校はほどんどなかったと思うので、現在一線で活躍している通訳者の方々は、自分自身で独自の技術を編み出してきたと思うんです。それができない人は、仕事をしていない、という世界なんですよね。先生方はその技術を私たちに惜しみなく与えてくださいます。私たちはほんとうに恵まれていると思います。

一回の授業の基本的な流れを教えてください。
授業の内容はいろいろありますが、そうですね、クイックレスポンス(ロシア語で単語や表現を言ったら即座に日本語にする、その反対も)でウォーミングアップをします。そして、数字を言う練習です。ものすごい桁数の(笑)。日本語とは単位の取り方が違うので、本当に難しいです。数字だけのもの、億、万という単位が漢字で書いてあるもの、ロシア語のミリオン、ビリオンという単位が書いてある数字のカードを先生が提示し、順番に訳出しをしていきます。

通訳練習は初見の文章を使うこともあれば、事前に宿題をして文章を読み込んでから臨むときもあります。サマライジング(要約すること)、リプロダクション(記憶して言うこと)、サイトトランスレーション(文章を見ながら訳すこと)などで訓練を行います。サイトトランスレーションは、日露、露日、両方行いますよ。

音声も用いています。シャドウイング(影のように後について言う)、ディクテーション(聞き取って書く)を行いますね。シャドウイングのときは、受講生がマイクを回しながら、話します。これは、マイクから拾った音声を先生がイヤホンで聞いてチェックしてくれているんです。

もう盛りだくさんで、毎回頭がパンクしそうになります。でもとても充実していて、やりがいがあります。

授業の準備にどれくらいかけていますか?
一週間のうち2,3日くらいは、ある程度の時間を取って準備します。実は授業の直後は結構落ち込むんです。自分のできないところがあらわになるので。だからせめて準備だけでもきちんとしなければ、と思っています。
授業を受けて、変わったことはありますか?
たくさんあります。難しいロシア語を読むときに条件反射的な拒絶反応がなくなりました。どんな文章でも、「読んでみよう」、「やってみよう」と思えるようになり、苦手意識がなくなりました。

サイトトランスレーションの訓練によって、「とにかく訳を出していく!」ということが少しずつできるようになりました。これまでは、構文の知識を使って後ろから文章を読んでいく癖がついていたんですけれど、サイトトランスレーションは文章冒頭から訳していくんですよね。こういう訓練をしたことがなかったので最初は戸惑いましたが、いろんな文章に接するたびに、だんだん前から訳を出せるようになってきました。

それと、仲間と出会えたのがモチベーションに繋がっています。みんな頑張っているので、私もやらなきゃと思えるんです。今後一緒にステップアップして、一緒に通訳者として頑張っていきたいと思える仲間と出会えたのが大きな収穫です。これから通訳者としてやっていきたいのなら、人一倍勉強しなければならないと先生から言われますけれど、この仲間の倍というのは無理ですね(笑)。だけど、同じくらいならできるかなと思って頑張っています。

何か学院にご要望はありますか?
どうしても仕事で授業に出られないときがあって、授業の録音があればいいなと思うこともありましたが、おさらいメールがあったり、仲間にも聞きやすくなってきたのでキャッチアップできています。あと、翻訳もしっかり勉強したいので、翻訳講座があるといいですね。
今後の夢を聞かせてください。
同時通訳の仕事をするのが夢です。このまえ、アイケーブリッジ主催の原ダリア先生特別講演会で同時通訳を経験しました。このときは、事前に講演資料を頂いて、仲間で練習を繰り返して、と念入りな準備をして臨みましたが、仕事となるとまた違うと思います。そんな現場でも臆せずきちんと訳を出すことのできる通訳者になりたいです。

インタビューを終えて

最初の半年間の語学留学、そして大学院進学のための二度目の留学、報道機関のロシア駐在、独立後のフリーランス通訳業、こうして見るととても輝かしいキャリアですが、常に「まだ(ロシア語の実力が)足りない」と、ときには身を転じ、研鑽を積んできた岡田さん。その姿勢はとてもストイックで、美しく感じました。是非、最後に聞かせて頂いた夢が実現するよう、これからも精一杯サポートさせていただきたいと思います。これからも頑張ってください。お話をきかせていただき、本当にありがとうございました!
(アイケーブリッジ外語学院 代表 幡野 泉)

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